シラスってどんな魚?
シラスと聞くと多くの人が「ちりめんじゃこ」を思い浮かべるかもしれませんね。シラスを塩茹でにして天日干しなどにより乾燥させたものをちりめんじゃこと呼んでいますので、あながち間違えではないですね。
実際には、シラスとは魚の種類の固有名詞ではなく、「白子」と表記して、マイワシ、カタクチイワシ、ウナギなどの稚魚を総称して言っているだけなのです。そのため、シラスは特定の魚を示して言っているわけではありません。
食品スーパーで販売されているシラスのほとんどはカタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシの稚魚だとされています。そして、フワッフワに釜揚げされたシラスを釜揚げシラスとして販売されています。
また、ちょっと小洒落た和食レストランや料亭などでは獲りたてで新鮮な生シラスを提供しているお店もありますね。世界の中でも、生シラスを食べる国は日本だけでしょう。
シラスの旬の時期はいつ?
今まで特にシラスの旬の時期を気にした方は少ないのではないでしょうか。たまたま食品スーパーで見かけて、美味しそうだから購入するというパターンがほとんどでしょう。
あるいは、「食欲の秋」と言われるように、お魚の美味しい季節も秋だから、氏らの野旬の時期も秋と思われる方もいることでしょう。これは半分は正解ですが、もう半分は不正解です。
シラスにも美味しい旬の時期があります。旬の時期というと一年に一回(一時期)と想像してしまうかもしれませんが、シラスの場合は旬の時期、つまり漁獲される時期が一年に数回あります。
単刀直入に言えば、春と夏と秋の年3回ほどシラスの旬の時期があります。それでは、もう少し具体的に、シラスの旬の時期が何月から何月までなのかを漁獲量(水揚げ量)が多い時期、あるいは卸売市場での取扱量が多い時期を基準に考えてみましょう。
シラスの月別取扱量と月別漁獲量
シラス干 取扱量/t | シラス 漁獲量/t |
|
---|---|---|
1月 | 571 | 5 |
2月 | 433 | 0 |
3月 | 670 | 7 |
4月 | 926 | 353 |
5月 | 790 | 1,084 |
6月 | 934 | 928 |
7月 | 765 | 699 |
8月 | 480 | 609 |
9月 | 490 | 611 |
10月 | 920 | 549 |
11月 | 776 | 327 |
12月 | 670 | 151 |
※月別取扱量:東京都中央卸売市場・平成28年市場統計情報より抜粋
※月別漁獲量:愛知県水産試験場漁業生産研究所・シラス漁獲量
上記のシラスの月別取扱量(東京卸売市場)と月別漁獲量(愛知県)の統計データから、シラスの旬の時期は主に4月~10月頃までということがよく分かります。
シラスの旬の時期のまとめ
- 春:4月~5月
- 夏:6月~8月
- 秋:9月~10月
上記のように漁獲の時期に区分できますが、漁師の方の話を参考にすると、シラスが最も最も美味しい時期は春と秋だそうです。やはり、秋のお魚はシラスでも脂が乗って美味しいのでしょう。
シラスの名産地はどこ?
シラスの産地と言うと、静岡県をイメージするかもしれません。静岡県は焼津港など漁業が盛んな都市でもありますし、シラスの産地としても有名です。そこで、47都道府県別にシラスの漁獲量の統計データを調べてみましょう。
平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | |
---|---|---|---|
兵庫県 | 11,892 | 10,739 | 11,696 |
愛知県 | 6,229 | 8,936 | 11,445 |
静岡県 | 6,936 | 9,586 | 9,885 |
大阪府 | 3,939 | 3,587 | 3,943 |
愛媛県 | 3,613 | 3,459 | 3,088 |
日本全国47都道府県別にシラスの漁獲量をランキングしてみると、どのエリアでシラスがよく獲れているのかがよく分かり、漁獲量が多い都市ではシラスが名産地となっていることがよく分かります。
この漁獲量の統計データからも分かりますが、ほとんどの漁獲が太平洋沿岸が漁場となっていることが分かります。ブリなどの漁場として有名な北陸地方の日本海沿岸ではほとんどシラスは水揚げされていません。
美味しいシラスの産地のまとめ
- 兵庫県:垂水、林崎、妻鹿、坊勢、育波(淡路島)、灘(淡路島)
- 愛知県:日間賀島、篠島、豊浜、師崎、片名、赤羽根、大浜
- 静岡県:焼津、舞阪、用宗、田子の浦
シラスの漁獲から加工まで
シラス漁の漁法はパッチ網と呼ばれる魚網を2隻の船で引き上げる伝統的な方法になります。
具体的なシラス漁の漁法は、2隻の漁船でパッチ網を引いて魚群を覆い囲むようにして、海中の表層あるいは中層を引き網し漁獲します。
ちなみにパッチ網のパッチはステテコを意味しており、パッチに魚網が似ているため、このように呼称されています。
漁獲されたシラスは鮮度を保つため、漁師さんの家族も総出で作業し、卸売市場で競りに掛けられ、競り落とされると同時に、加工場へ運搬され、かまゆでされると言う流れになります。(動画参照)
シラス漁の漁獲と加工の動画
シラスの美味しい食べ方
しらす丼はしらす料理の定番で、誰でも知っている食べ方でしょう。アツアツご飯の上に、ほんのりと海の香りがあり微かな塩味がする釜揚げしらすをどっさりと乗せて食べるしらす丼は私の大好物の料理です。ネギや大葉などを薬味に乗せても美味しく頂けます。
釜揚げしらすの中に、偶然にも、イカ、タコ、エビなどの稚魚が混入していることがありますね(笑)。何だか、当たりくじを引いたようで嬉しくなってしまいます。基本的には、このようなご褒美が混入していても、シラスと同じように食べることが出来ます。
しらす丼以外のシラス料理はどのようなものが思い浮かびますか?
やはり、まずは「しらす大根おろし」でしょうね。大根おろしの上にシラスを乗せて出来上がりというシンプルで簡単な料理ですが、大根おろしのピリ辛とシラスの薄塩味のコンビネーションが両方の美味しさを引き立てますね。
卵の中に釜揚げしらすを混ぜて作る「しらす出し巻き卵」も定番料理のひとつでしょう。また、天ぷらの一つとして、かき揚げに釜揚げシラスをまぜてつくる「しらす入りかき揚げ」も、シラスがかき揚げの美味しさを最大限に引き立ててくれます。いずれの料理も釜揚げシラスをふんだんに使うことで、シラスが料理の脇役から主役になります。
その他にも、サラダのトッピングにしたり、シラスを加えたお浸しや和え物、釜飯の具として使用すれば、海の香りがほんのりとして美味しさを引き立ててくれます。
このように、シラスはどのような料理にもマッチするオールマイティな食材として利用できますので、自分に合った食材の使用法を考えて、料理を創作してみてください。
シラスの栄養とカロリーと効能
シラスは魚の稚魚で、しかも食す時には魚を頭から尻尾まで内蔵もすべて食べることになります。そのため栄養価はとても高そうですね。シラスの栄養はどのようなものがあるか知っていますか?
釜揚げしらすの100gあたりのカロリー
釜揚げしらすのカロリー:158kcal/100g
これだけではシラスのカロリーが高いのかどうか分かりませんので、鯖(サバ)と比較してみると、焼きサバの100gあたりのカロリーは170kcal程度で切り身一切れ分にすると約200kcalになります。
焼きサバ一切れ分と比べると、釜揚げしらすのカロリーは少しカロリー量は少ない程度だと覚えておきましょう。
釜揚げしらすの100gあたりの主な栄養分
- タンパク質:15.0g
- 脂質 :9.97g
- 炭水化物 :0.25g
- 塩分 :2.07g
- カルシウム:49.88mg
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